大きな雷が落ちる音は、日常を突然ぶった切るような、退屈を破り捨てる気配のような感じがしてよい。現状に満足していたら、不安に思うかもしれない。恐れを感じるかもしれない。大きな雷にワクワクを感じてしまうということは、そういうことなのだろう。
信号待ちで見上げた空は、触ってみると意外とゴワゴワしてそうな、明るい黒色で、ビルの、てっぺんの、看板の、ネオン管が、巨大な虫の化け物みたいな音を立てて、ビビビ、ジジジジ、と不規則に、息絶えそうに、またたこうと震えている。それは気味が悪い光景のようでいて、しばらく見ていると心が落ち着くような気もしてくる。
飼い主不在の、黒くて大きなレトリバーが、ガードレールにつながれていて、目の前の地面には、かじりかけのコッペパンが落ちていた。
帰り道に新しく、たい焼き屋ができた。店員さんが道行く人に向かって、「たい焼きいかがですか、おみやげに、たい焼きいかがですか」と言っている。それを聞いて、おみやげにたい焼きを買って帰りたい気持ちになる。私が「おみやげにたい焼き、買ってきた」と言うと、目を見開いて喜んで、頭からか、尻尾からか悩みながら、笑顔でパクパクと食べてくれる人のことを想像する。なあに、たかがたい焼きなのに、そんなに喜んじゃって、なんて思ったりする。でも、実際は家に帰っても誰もいないから、私はおみやげに、たい焼きを買って帰らない。
そびえたつ都庁の二つの塔が、夜になるとライトアップされる。日によって水色だったり、ピンクだったり、色が違っていて、その色を決める仕事の人と、決まった時間にライトのスイッチを入れる仕事の人がいると思うと羨ましい。心からではなくとも、なんとなく毎日楽しみにしている人がいる、そういう小さな期待を背負うのがいい。
20181001
20180920
部屋の中にいたのに、半透明のヘビが現れて、
そのヘビは身体がとても短くて、途中でちぎれてしまっていた。
目つきが鋭くて、私は怯えてしまったけれど、噛むことはない。
ゆっくりと足に、まるで猫のように、まとわりついて、
なんだか不憫に思えて、とりあえず洗面台にのせて、水をかけると、
どことなく喜んでいるようだった。
ところでヘビは何を食べるのか。ネズミだろうか。
ヘビを飼っている人に電話をかけた。
いちご味の錠剤か、ああ、それなら家のどこかにあったはず。
店舗の倉庫のように積まれた箱を開けて、
たくさんの生きた虫がカラフルな樹脂に入った標本をどけて、
太古の中国の百均みたいなセットの奥底から、
怪しい漢字がたくさん羅列する、錠剤のシートを取り出す。いちご味。
宝くじ売り場に行って、お月見くじをバラで5枚買った。
窓口の女性に、「当たりますように」と言われて感動した。
そういう規則だから言ってるのだとしても。
目で見ることができないもの、風。でもそこにある。風。
葉っぱが揺れていることで、電線が揺れていることで、見えているような気になっているけど、本当は見えない。でもある。つまり、見えないけど、実際に存在するものは、他にもあるだろうということ。心もそう。見えないけどある。神様とかは知らない。でも人間の認知できない生命は、いるだろうな、すぐそばに。
雨の日の、分厚い雲の色が、鉛色なのは、どうも納得がいかない。そんなにひどくない天気の日は、たいてい白色で、それはなんとなくわかる。
だって水蒸気には色がないし、雨にも色はない。だから雨色の絵の具はない。(水にも色がないのになぜか水色の絵の具はある。矛盾している。)なのにどうして鉛色なのか。はるか昔から、あの色の空を見ると、人間の心がどんよりするように、遺伝子に刻まれているのだとしたら、そろそろ雲は、セロハンみたいにきれいな、ピンク色とかになったほうがいい。降ってくる雨もピンク色。カバの汗みたいですこしエッチ。でも雨の色がピンク色になったら。ピンク色がエッチなんて言われなくなって、ピンク色を用いた国旗がたくさん生まれて、ピンク色は女の子の色だなんて言われなくなる。女の子の色だと思うと途端にウゲーとなるけど、そういうイメージが一切ないとしたら、ピンク色けっこう好きな気がする。ハムの色はそんなに好きじゃないけど、桃味のソーダの色は好きになれると思う。
そのヘビは身体がとても短くて、途中でちぎれてしまっていた。
目つきが鋭くて、私は怯えてしまったけれど、噛むことはない。
ゆっくりと足に、まるで猫のように、まとわりついて、
なんだか不憫に思えて、とりあえず洗面台にのせて、水をかけると、
どことなく喜んでいるようだった。
ところでヘビは何を食べるのか。ネズミだろうか。
ヘビを飼っている人に電話をかけた。
いちご味の錠剤か、ああ、それなら家のどこかにあったはず。
店舗の倉庫のように積まれた箱を開けて、
たくさんの生きた虫がカラフルな樹脂に入った標本をどけて、
太古の中国の百均みたいなセットの奥底から、
怪しい漢字がたくさん羅列する、錠剤のシートを取り出す。いちご味。
宝くじ売り場に行って、お月見くじをバラで5枚買った。
窓口の女性に、「当たりますように」と言われて感動した。
そういう規則だから言ってるのだとしても。
目で見ることができないもの、風。でもそこにある。風。
葉っぱが揺れていることで、電線が揺れていることで、見えているような気になっているけど、本当は見えない。でもある。つまり、見えないけど、実際に存在するものは、他にもあるだろうということ。心もそう。見えないけどある。神様とかは知らない。でも人間の認知できない生命は、いるだろうな、すぐそばに。
雨の日の、分厚い雲の色が、鉛色なのは、どうも納得がいかない。そんなにひどくない天気の日は、たいてい白色で、それはなんとなくわかる。
だって水蒸気には色がないし、雨にも色はない。だから雨色の絵の具はない。(水にも色がないのになぜか水色の絵の具はある。矛盾している。)なのにどうして鉛色なのか。はるか昔から、あの色の空を見ると、人間の心がどんよりするように、遺伝子に刻まれているのだとしたら、そろそろ雲は、セロハンみたいにきれいな、ピンク色とかになったほうがいい。降ってくる雨もピンク色。カバの汗みたいですこしエッチ。でも雨の色がピンク色になったら。ピンク色がエッチなんて言われなくなって、ピンク色を用いた国旗がたくさん生まれて、ピンク色は女の子の色だなんて言われなくなる。女の子の色だと思うと途端にウゲーとなるけど、そういうイメージが一切ないとしたら、ピンク色けっこう好きな気がする。ハムの色はそんなに好きじゃないけど、桃味のソーダの色は好きになれると思う。
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