20181001

大きな雷が落ちる音は、日常を突然ぶった切るような、退屈を破り捨てる気配のような感じがしてよい。現状に満足していたら、不安に思うかもしれない。恐れを感じるかもしれない。大きな雷にワクワクを感じてしまうということは、そういうことなのだろう。
信号待ちで見上げた空は、触ってみると意外とゴワゴワしてそうな、明るい黒色で、ビルの、てっぺんの、看板の、ネオン管が、巨大な虫の化け物みたいな音を立てて、ビビビ、ジジジジ、と不規則に、息絶えそうに、またたこうと震えている。それは気味が悪い光景のようでいて、しばらく見ていると心が落ち着くような気もしてくる。
飼い主不在の、黒くて大きなレトリバーが、ガードレールにつながれていて、目の前の地面には、かじりかけのコッペパンが落ちていた。

帰り道に新しく、たい焼き屋ができた。店員さんが道行く人に向かって、「たい焼きいかがですか、おみやげに、たい焼きいかがですか」と言っている。それを聞いて、おみやげにたい焼きを買って帰りたい気持ちになる。私が「おみやげにたい焼き、買ってきた」と言うと、目を見開いて喜んで、頭からか、尻尾からか悩みながら、笑顔でパクパクと食べてくれる人のことを想像する。なあに、たかがたい焼きなのに、そんなに喜んじゃって、なんて思ったりする。でも、実際は家に帰っても誰もいないから、私はおみやげに、たい焼きを買って帰らない。

そびえたつ都庁の二つの塔が、夜になるとライトアップされる。日によって水色だったり、ピンクだったり、色が違っていて、その色を決める仕事の人と、決まった時間にライトのスイッチを入れる仕事の人がいると思うと羨ましい。心からではなくとも、なんとなく毎日楽しみにしている人がいる、そういう小さな期待を背負うのがいい。

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