20160228

無題

ダッフルコートのポケットに手を突っ込むと、昨夜のライブチケットが入っていた

バスドラムが身体に響いて内臓を揺らす感覚を思い出す
赤や青の眩しい光が刺さる
お洒落をした若者たちがリズムに合わせ踊る向こうで
フロントマンがギターを掻き鳴らしている

ステージの真上にあるスポットライトに照らされた空間を
もったりと静かに漂うスモークをじっと見ていると
自分の時間だけが引き延ばされたように感じる
走る電車の中を浮遊している羽毛や、
人々が行き交う街の空中を上手に泳ぐビニール袋と同じ、
小さなスローモーション

知らない人が詰め込まれた空間にいると、
自分が消えてなくなるような感じがする
大勢の中の一人である私は、大勢に吸収されて、
少しずつ透明になって、消える
圧倒的な数に飲まれて、
自分に出来ること、特別なこと、強く思っていること、
忘れてしまうような気がする

受け取るだけの、消費するだけの毎日を過ごしていたら
伝えたいことを忘れてしまう

やりたいことをやるのは、やりたくないことをやるのと同じくらい大変

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